8月も終わりかけだというのになんと暑いことか。外では未だにセミが大きな声で鳴いている。
そう、8月はセミの季節。水闇自然デッドダムドの季節だ。(所説あります)
10月のGPに向けて水闇自然デッドダムドを仕上げている青空海は、独自の改造を活かして決勝戦まで上がってきた。
対するGarowsは火単我我我で予選決勝を走り抜けてきた。予選順位は8位と低かったものの、気づけば決勝戦。ゴールまであと一歩だ。
ダムドvs火単速攻。2019年にダムドというデッキタイプが開発されてから、何度も行われてきた伝統の一戦ともいえるマッチアップ。早速見てみよう。
1本目
先攻:Garows
最初の手札でゲームプランを決めなければならないGarows。手札の《こたつむり》《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》《カンゴク入道》とにらめっこしながら、まずは《カンゴク入道》を召喚。シールドを手札に加え、ビッグアクションを狙う。
対する青空海は2マナで《極楽鳥》を召喚。
シールドをブレイクできない代わりに好きな色のマナを生み出すマナ・バード。その便利さと凶悪さから「鳥を見たら焼け」という言葉もこの世に存在するが、火単速攻が相手なら生きて返ってくると判断したようだ。
事実、その判断は正しく、Garowsは《テスタ》で青空海の侵略を咎めるのみ。《カンゴク》でシールドを割ってターンを返す。
《極楽鳥》の生還を確認した青空海はマナゾーンの3マナと《極楽鳥》をタップ、《虹速 ザ・ヴェルデ》を召喚。Garowsのリソース源でもある《カンゴク》を討ち取った。
リソース源を制限され、貯めるプランを採りづらくなったGarows。《テスタ》→《我我我ガイアール・ブランド》で青空海のシールドを削りにかかるも、《テスタ》の割ったシールドからGSの《若き大長老 アプル》が顔を出す。《我我我》の真価を発揮させることなく動きを封じ込めた。
青空海は《オニカマス》《闇参謀グラン・ギニョール》と着々と盤面を伸ばしリソースを稼ぎ続ける。だが、急場を凌いだとはいえGarowsには《我我我》が控えている。青空海に何か考えでもあるのだろうか。
その答えは次のターンで明らかになる。
Garowsはもう一度《テスタ》→《我我我》で今度こそ青空海に届くまでの打点を形成した。前のターンで動きを止められた《我我我》が再び動き始めた。シールドをWブレイク!
なぜ青空海は先程のターンでGarowsのクリーチャーを処理しなかったのか。青空海には算段があったのだ。そう、シールドで返す算段が!!
《終末の時計 ザ・クロック》!!!
後でリストを確認したが、青空海の水闇自然デッドダムドには火単の猛攻を捌ききれる強力なシールドトリガーが10枚も採用されていた。前のターンの意図が汲めたところでバトルゾーンに目をやると青空海には攻撃を通せる《ギニョール》《クロック》《オニカマス》の3体のクリーチャーが控えている。対してGarowsは《カンゴク》の反動でシールドは残り三枚。《ギニョール》が、《クロック》が、《オニカマス》が、Garowsの3枚のシールドを割り切った。
その“鳥”は、強力な効果の代償でシールドをブレイクできないはずだった。その“鳥”はマナを生み出すことが仕事のはずだった。いま、Garowsを守るシールドは存在しない。《極楽鳥》はプレイヤー本体なら攻撃できる!虹色の鳥は生身のGarowsにトドメを刺した。
青空海 1-0 Garows
「鳥を見たら焼け」。本来はデュエルマスターズの兄貴分であるマジックザギャザリングの言葉であるが、デュエルマスターズでも無視はできない言葉のようだ。
《カンゴク》を取った《ヴェルデ》、それを3ターン目に送り出したのは《極楽鳥》あってこそである。加えてダイレクトアタックの打点としての運用。鳥に始まり鳥に終わった1本目であった。
2本目
先攻:Garows
1ターン目から《ブンブン・チュリス》を召喚すると、2ターン目には《こたつむり》を召喚。
すかさず《ブンブン》が青空海のシールドを詰める。《クロック》がトリガーするも、元より攻撃手がいないのと《ブンブン》はアンタップされないのとで有効トリガーとは言い辛い。Garowsが上手く踏み抜いたと言える。
しかし、ここからが繋がらない。火単我我我の火力を担当するはずの《我我我》や《“罰怒”ブランド》、いわゆる上のクリーチャーが来ないのだ。それだけでもGarowsにとって十分厳しい戦いであるが、青空海がマナチャージしたのは《SSS級天災 デッドダムド》。Garowsが地道に広げた小型獣も《ヴェルデ》+《ダムド》のパッケージで丁寧に破壊されてしまう。
ここからは詰将棋だ。バトルゾーンにクリーチャーがいない。手札は2枚のみ。Garowsがマナチャージだけでターンを返したのを確認すると、《アプル》を2体展開し、次のターンに圧倒的な打点でGarowsを倒す算段をつけた。盤面を処理しきり、超過打点を3体並べる。余裕の展開である。
………しかし、そこに隙が生まれた。一瞬の隙をGarowsは見逃さない。
手札に抱えていたのは《斬斬人形コダマンマ GS》と《我我我ガイアール・ブランド》の2枚。まずは《コダマンマ》を送り出すと、《マンマ》が呼び込んだのは追加の《我我我》!!《我我我》は更なる《我我我》を纏い青空海に襲い掛かった。※
Wブレイク。トリガーは……ない。
続く《我我我》のWブレイク。やはりトリガーは………ない。
青空海の作り出した絶望的な状況。その一瞬の隙を通し、Garowsの《コダマンマ》がダイレクトアタックを決めた。
青空海 1-1 Garows
※本来の裁定だと、1回目の攻撃で《我我我》の破壊効果が2回分トリガーするため、上記の挙動は行えません。本記事では、当日実際に起きたことを尊重しテキストカバレージ化しました。
最終戦までもつれた。泣いても笑っても最後の戦いである。暑い夏を制するのは青空海の水闇自然デッドダムドかGarowsの火単我我我か。
3本目
先攻:青空海
青空海は《幻緑の双月》でマナを伸ばし、Garowsは《カンゴク》で手札を伸ばす。お互いがやりたいことを行った2ターン目。先に大きく動いたのは…
「1コスト《ブンブン》、2コスト《我我我》!!!」
Garowsであった。長引けばデッドダムドの土俵である。
長考に長考を重ねたGarowsは《デッドダムド》が見えていない今こそ攻め時と判断したようだ。《カンゴク》の1点が通り、《我我我》が続く。
しかし、青空海のダムドは受けが厚い。《我我我》の攻撃にトリガーしたのは《A・A・A》!
Garowsにとって《カンゴク》が破壊されたのも痛いが、青空海のマナが伸びてしまったのもいただけない。
青空海のターン、2コスト《極楽鳥》、3コスト《デドダム》、更に3コストで《母なる星域》。呼び出されたのは…
《CRYMAX ジャオウガ》!!!
《ブンブン》に攻撃しながら、《“罰怒”》と《こたつむり》をGarowsの手札から奪う。背景ストーリーでは全てを奪う鬼である《ジャオウガ》。実際の対戦でも反撃の目すら奪う。
全てを奪われたGarowsは何も動けない。《ジャオウガ》が残る3枚の盾を全て割り切り、夏の覇者が決定した。
WINNER:青空海!!!!
夏はダムドの季節。何故か毎年訪れるこのジンクスは今年も例外なく訪れたようだ。
しかし、夏だからダムドが勝てたと簡単に結論付けるのは早計だ。
青空海のダムドには、一般的なダムドにはない圧倒的な受けの厚さがある。
1戦目を決定づけた《終末の時計 ザ・クロック》に、3戦目の《A・A・A》。シールドからだけでなく、ムゲンクライムでも積極的に対戦に関わり続けた《闇参謀グラン・ギニョール》。決勝戦では活躍こそなかったが《テック団の波壊Go!》もあれば、《アプル》や《曲通風》などのGSなど、アグロ対面に取りこぼしの無い構築が特徴的だ。
また、《デドダム》《ダムド》《A・A・A》の3色基盤に加えて《極楽鳥》で序盤の動きに隙が無い。独自の構築が光ったといえる。
惜しくも準優勝であったGarows。構築こそ一般的な火単我我我であるが、メタ読みの妙が印象的である。直近のアグロデッキといえば火自然/火水のアポロヌスが思いつくが、雑な手札破壊に屈してしまうこともしばしば。対して火単は多少の手札破壊に屈することなく打点形成が可能だ。先攻3ターン目の押しつけプランも採れ、見た目以上に柔軟に戦える。
本大会でも、水闇自然ハンデスが台頭しているのを見切ったGarowsが読み勝ったといえるだろう。
超CSも4会場全て終わり、プレイヤー達は次の大舞台であるグランプリに挑む。構築、メタ読み、それぞれで勝ち抜いてきた両名に拍手を送りつつ、本記事を締めたい。
文責:ジャイロ