ガンスリンガーやプレイマット争奪戦など豊富なサイドイベントもあってか終始賑やかな会場だ。
そんな噪音の中、静かに今日のヒーローが決まろうとしていた。
予選全勝、本戦6回戦も未だに負け無し。文字通りの"無敗"を貫くshirasuは相棒の赤白サンマックスで今日1日を駆け抜けてきた。
対するりんすきは最強の名に最も近いとされるアナカラーデッドダムドで数多の相手を捌いてきた。
現環境最強のビートダウンvs現環境最強のコントロール、
まさに決勝戦にふさわしい組み合わせだ。
どちらが今日のヒーローとなるのか?
1本目 先攻:shirasu
shirasuはマナゾーンに早速《サンマックス》をセット。いつでも殴りに行ける準備を整える。
りんすきも負けていない。《ヴェルデ》をマナにセットし、盤面を刈り取る準備は出来ている。
shirasuは2マナで《リリアング》を召喚し、《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》で《ダテン・クウェール》をGR召喚する。
長引けば不利は明白だ。りんすきが2マナで動けないうちにshirasuは勝負に向かう!
3マナで《カマセ》から追加の《ダテン・クウェール》を呼ぶと手札を見せた。
ビートダウンの手札1枚は《轟轟轟 ブランド》のサイン!
《ダテン》でWブレイク、《リリアング》でブレイクとりんすきを追い詰める。
りんすきは《ヴェルデ》をチャージするも3マナ、アナカラーデッドダムドはまだ動けない……
はずだった。
りんすきが握るデッドダムドを除いては!!
予選、本戦のうち半分をミラー対面で勝ち抜いたりんすきのデッキは既存の枠に囚われない。
1マナで《フェアリー・ギフト》を唱えるとマナから《ヴェルデ》が着地。
すぐさま《轟轟轟》に攻撃し、侵略宣言!
《SSS級天災 デッドダムド》!!
2回の侵略で2体の《ダテン》をGRゾーンに返し、《轟轟轟》を討ち取る。
3体のW・ブレイカーを一瞬で失ったshirasuは《リリアング》から《銀河》で《アネモⅢ》を展開。
生き残った《リリアング》で1点を刻む。
凌いだか?
しかし、りんすきは前のターンの盤面処理にリソースを割いてしまいこのターン動くことができない。
環境最強のビートダウンに2度の猶予は勝つには十分過ぎた。
《アネモ》は《サンマックス》に侵略し最後のシールドをブレイク。
《リリアング》がダイレクトアタックに成功した。
勝者:shirasu
"無敗"の王者は決勝でも揺るがない。りんすきはshirasuを地につけることができるのか?
2本目 先攻:りんすき
《ジャスミン》でマナ加速に成功したりんすき。
対するshirasuは《リリアング》をプレイするも続かない。
4マナ、それはアナカラーダムドにとって盤面を刈り取るに十分過ぎるマナだ。
《ヴェルデ》を召喚して《リリアング》に攻撃。
侵略宣言、《復讐 ブラックサイコ》!!
デッキがりんすきに答えるように殿堂カードである《ブラックサイコ》が駆けつけた。
盤面だけじゃない、手札まで貪欲にもぎ取る。
圧倒的有利においても、りんすきは詰めを怠らない。
4マナで《奇天烈 シャッフ》を召喚しさらにshirasuを縛る。
《サイコ》は《デッドダムド》に侵略すると、エスケープされないよう《リリアング》を手札に送る。
盤面を、手札を削がれたshirasuに対応する術は無かった。
勝者:りんすき
《デッドダムド》のカードパワーも去ることながら、りんすきの丁寧なプレイと独自の構築が無敗の王者を地につけた!
勝負は1-1ともつれ込み、どちらが勝ってもおかしくない。
奇しくも同じ時代を戦ってきたデッキが復活してまた拳を交えていた。
最後に笑うのはどちらのS級侵略者か…
3本目 先攻:shirasu
先攻を取ったshirasuは《リリアング》から《サプライズ・ホール》をプレイし場持ちの良い《シャンデリア》をキャスト。
対するりんすきも《ジャスミン》のブーストに成功、《ヴェルデ》をマナに落とし好調だ。
shirasuは《奇石 ミクセル》を召喚するとまたもや同じ構えをした。
りんすきに《ブラックサイコ》が答えたように、shirasuには奴が答えた!
《“轟轟轟” ブランド》!!
《リリアング》《シャンデリア》がりんすきのシールドを襲う。
アナカラーデッドダムドの処理能力の高さは《ヴェルデ》のマッハファイターと《デッドダムド》の侵略によるものだ。
りんすきは思考を巡らす。限られた手札で何ができるか?
耐性のある打点が2体、Wブレイカーが1体、さらに小型が1体。
shirasuが勝つには十分な打点が揃っている。
マナゾーンの《ヴェルデ》は?
《デッドダムド》による侵略は?
必死に考えるも、《奇石 ミクセル》があまりにも重い。重すぎた。
shirasuの打点に手をつけられなかった。それほどにshirasuの《ミクセル》+《轟轟轟》が完璧すぎたのだ。
WINNER:shirasu!!!!!
小さくと、しかし力強くガッツポーズをした。
後にshirasuは語った。
『赤白というデッキが好きで握っていた。好きで良かった。』
惜しくも優勝を逃したりんすき。筆者はりんすきに問い合わせると驚きの台詞を口にした。
『ノートリ構築なんですよね。』
ミラー対面を強く意識した構築にする際に抜けたという。
りんすきからデッキ構築の幅の広さを、
shirasuからデッキを信じる強さを学んだ。
激しくアツい決勝はshirasuの優勝で幕を閉じた。勝者へのエールと共に、りんすきへの敢闘賞の意を込めて拍手で送りたい。
記事:ジャイロ