参加者32人にも関わらず、参加デッキタイプの数は25以上という魔境。それが現在のオリジナル環境だ。
そんな何が勝つか分からない環境において信用できるもの、それは……
パワーしかない。
決勝戦まで勝ち残ってきた両名の「パワー」、とくとご覧あれ。
にんにくましのすけの使う4c邪王門は文句ナシのデッキパワーを誇る。その爆発力は他のデッキとは格が違う。まさしくパワー。力こそパワー!どんなに追い詰められても、立ち上がる不屈の筋肉である。《鬼ヶ大王 ジャオウガ》で自らの盾を削りながら戦う姿は、生きる高負荷トレーニングとも言えるだろう。
対するカチュアは水闇自然ジャオウガで迎え撃つ。しなやかな筋肉がバランスの良い体に繋がるように、デッキ自身の対応力と《CRYMAX ジャオウガ》の押し付け力が魅力だ。それらを支えるのは《天災 デドダム》や《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》。圧倒的なリソース供給能力はデッキの基礎代謝を上げ、引き締まったデッキを実現させた。まさしくハンデス界の細マッチョだ。
柔のカチュアか剛のにんにくましのすけか。勝つのはどっちな~んだい?!早速見ていこう。ヤー!!!
1本目
先攻:にんにくましのすけ
お互いにマナ加速から始まる序盤。先に大きく動いたのはカチュアの《 有象夢造》。《キャディ・ビートル》と《悪魔妖精ベラドンナ》を場に出し、にんにくましのすけの自由を奪う。ここでマウントポジションを取ったカチュアは手を緩めない。
《天災 デドダム》、《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》とリソースを伸ばしつつ、《有象夢造》による手札破壊も行う。ここまでコントロールするのに眠れない日もあっただろう!瞬く間に10マナ圏内まで伸ばし、墓地に《絶望と反魂と滅殺の決断》を準備した。
対するにんにくましのすけ、自身の動きは《天災 デドダム》でマナを伸ばすのみ。カチュアの対応に追われている様子だ。《希望のジョー星》は《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》で、《キャディ・ビートル》は《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》で。こまめな除去を続けてはいるものの、決め手に欠ける。
反対にカチュアの手は止まらない。《絶望と反魂と滅殺の決断》から《天災 デドダム》を2体蘇生するとリソース差を決定的なものにした。好機を逃すまいと、このターン2度目の《絶望と反魂と滅殺の決断》!
《悪魔妖精ベラドンナ》を蘇生&にんにくましのすけの《天災 デドダム》を破壊。「柔よく剛を制す」とはまさしくこの状況だろう。
《悪魔妖精ベラドンナ》の手札破壊に《キャディ・ビートル》の妨害、それを支える《天災 デドダム》のリソース確保!仕上がってる!カチュアの水闇自然ジャオウガはキレッキレだ!いまにも「It's My Life」が聞こえてきそうな勢いだ。
《悪魔妖精ベラドンナ》がにんにくましのすけの最後の手札を奪った。あとはカチュアが詰め切るだけ。誰もがそう思ったとき、にんにくましのすけはウォームアップを始めた。ここで、先ほどの「It's My Life」は誰のための音楽なのか思い知らされる。
???「パワー!!!!!!!!!!!!」
否、《貝獣 パウアー》!!!!!
にんにくましのすけが最後に抱えていたのは《貝獣 パウワー》!その効果で4ドローをするとにんにくましのすけは腕をまくる。
今までの窮屈なプレイは低酸素トレーニングと言わんばかりに、のびのびと動くにんにくましのすけ。《「未来から来る、だからミラクル」》で更に手札を増やし、効果で《生命と大地と轟破の決断》を唱える。出すのはもちろん《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》と《鬼ヶ大王 ジャオウガ》!伝家の宝刀!デカァァい!説明不要ゥゥ!
盾回収を挟み、にんにくましのすけの手札は溢れんばかり。加えてカチュアのメタ軍団は《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》によって撤退している。
カチュアの盾に回答は無く、にんにくましのすけがダイレクトアタックを決めた。
にんにくましのすけ 1-0 カチュア
あの逆境すら跳ね返すデッキパワー!屈強なデッキにしかできない荒業である。
対して、惜しくも一瞬の隙を突かれたカチュア。切り札の《CRYMAX ジャオウガ》をまだ見られていないが活躍の場はあるのだろうか。続きを見てみよう。
2本目
先攻:カチュア
筋トレ後の休息に近い何かがあるのだろうか。1本目と打って変わって静かな展開を見せる。いわば「超回復」を狙う両者。
《若き大長老 アプル》、《Dis ジルコン》、《希望のジョー星》、カチュアはメタカードの展開とリソース確保を両立して行う。対するにんにくましのすけも《お清めシャラップ》でカチュアの《悪魔妖精ベラドンナ》を山に返して応戦。《有象夢造》を働かせない。
一手の遅れが致命傷となるのを、お互いの筋肉で感じた1本目。にんにくましのすけが《「未来から来る、だからミラクル」》で手札を2枚増やした段階でカチュアは手札破壊プランを諦め、《悪魔妖精ベラドンナ》をマナ加速で使用。
その間ににんにくましのすけは《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》で《希望のジョー星》を破壊して革命チェンジ、鬼エンドの舞台を整えた。
カチュアはにんにくましのすけの手札をこれ以上見逃せないと判断。《絶望と反魂と滅殺の決断》を唱え、《悪魔妖精ベラドンナ》を蘇生&《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》を破壊。おや、この流れは…。勘の鋭い読者はお気づきだろう。筋肉にマッスルメモリーがあるように、デュエリストにも潜在的な記憶能力が備わっているのかもしれない。
またしても「It's My Life」が聞こえてきた。我々はこの“流れ”を知っているはずだ。そう、ヤツが来る!!
《貝獣 パウアー》!!!!!!
ここからはカードパワーの暴力。先ほどの静けさはどこやら、にんにくましのすけの動きがダイナミックに変わる。
《天災 デドダム》+《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》という二大巨頭。現代デュエルマスターズのダブルバイセップス!《Dis ジルコン》、《若き大長老 アプル》を瞬く間に除去。しかも《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》の回収先は《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》。同じ展開は許さないという強い意思すら感じられる。
《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》のカードパワーを身をもって体感したカチュア。しかしそこはカチュアの土俵でもあった。純粋なカードパワー比べなら彼の右に出るものはいない。その黒光りするボディは進化元がなくともキレッキレだ。
《CRYMAX ジャオウガ》!!
《CRYMAX ジャオウガ》+《異端流し オニカマス》という黄金パッケージを前にしてもカチュアに驕りはない。タップ状態の《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》を攻撃対象に、《天災 デドダム》と手札を奪う。いわゆる「貯め」のプランだ。
だが、その「貯め」は隙ともとれる。にんにくましのすけの手札にあった《鬼ヶ大王 ジャオウガ》を《CRYMAX ジャオウガ》で落としたカチュアであったが、それで安心できる訳ではないのが4c邪王門というデッキの強みだ。
まずは《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》を召喚したにんにくましのすけ。効果で捲った5枚の中に……「それ」はあった。現状を打開する最強の回答が!
生きる高負荷トレーニング、《鬼ヶ大王 ジャオウガ》!!
先ずは《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》で《異端流し オニカマス》を打ち取り、《鬼ヶ大王 ジャオウガ》の攻撃で《百鬼の邪王門》2発を引っ提げカチュアに迫る。更には《時の法皇 ミラダンテXII》を絡めながらT・ブレイク!
これ以上返す手段が無いと判断したカチュアは投了を宣言した。
WINNER:にんにくましのすけ!!!!
現在のオリジナル環境を定義する4c邪王門vs水闇自然ジャオウガというマッチアップ。相性差が現れた結果にはなるが、カチュアの絶妙なタイミングの《希望のジョー星》とそれを丁寧に捌き続けるにんにくましのすけ《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》など、ただの相性という言葉で片づけてしまうには惜しい良い戦いであった。
ともあれ、最終戦に相応しいナイスバトルに拍手を送ると共に、最後はにんにくましのすけに"あの台詞”と“あのポーズ”で締めていただこう。
「「「パワーーーーーーー!!!!!!!!!」」」
文責:ジャイロ