「母数の少ない強いデッキは強い。」
言われてみれば当たり前のことだ。
強いデッキだから勝ち上がれる。母数が少ないから不利対面は決勝まで上がってこない。
しかし、その当たり前が難しいのだ。
強いデッキというのは得てして使われるものである。そしてすぐに対応される。
環境の、意識の隙をついて持ち込まれたそのデッキは瞬く間に勝ち上がり決勝まで進出していた。
魔王dottoの手によって。
cardrush prosのロゴを左胸に、dottoはGPでも結果を残したカリヤドネループを片手に優勝を狙う。
対するはなーさん。
強豪ひしめく大阪でDMPランキング9位と実力は折り紙つきだ。
2人には奇妙な運命があった。
9/21(土)発売のDMRP-11がプールに入ってからCSで戦うのは5回目だという。
お互いにクセやプレイを知り合った戦い、激戦になるのは間違いないだろう。
1本目 先行:dotto
カリヤドネループの初動は速い。
1ターン目から《ア・ストラ・センサー》をプレイすると切札の《カリヤドネ》を回収。
さらに2ターン目には《エマージェンシー・タイフーン》でさらに墓地の呪文を肥やす。
なーさんは2マナで《一番隊 クリスタ》を召喚しターンを返す。
dottoのプレイは止まらない。2マナで《ブラッディ・タイフーン》を唱えると3ターン目にして墓地が6枚という脅威の速さで《カリヤドネ》を構える。
なーさんに焦りは見えない。むしろ、焦っているのはdottoのようにも見える。
それもそのはず、なーさんは既に勝つための布石を打っておいたのだ。
「1軽減、3マナで《オーリリア》。」
すぐさま《クリスタ》でシールドをブレイクし、ラビリンス発動!
これには流石のdottoも渋い顔を浮かべる。
当然だ。《プーンギ》や《タスリク》のようにコストを上げるクリーチャーに対しては、そもそも踏み倒す《カリヤドネ》をプレイしてしまえば解決する。
しかし、詠唱そのものを止める《オーリリア》は別だ。
魔王に足踏みをさせたなーさん。追撃に入る。
《音奏 プーンギ》を2体並べて一切の呪文を止めた。
「《オーリリア》入ってるの知ってるんだよな…」
そう漏らすdotto。なーさんのメタリカ軍団を止める術は残ってなかった。
勝者:なーさん
dottoの握るカリヤドネループはいわゆるコンボデッキ。メタカード1枚で厳しい展開を強いられる。
なーさんのメタリカビートはコンボデッキに強いメタクリーチャーを多く積んでいるため相性は最悪と言っていいだろう。
しかし、数々の死線を抜けたdottoに『諦め』の2文字は無い。
2本目 先行:dotto
2マナで《エマージェンシー・タイフーン》を唱え、またもや墓地の呪文を肥やす。
なーさんは《ヘブンズ・フォース》から《龍装者 バーナイン》を出すと山を掘る準備にかかる。
狙うはもちろん《オーリリア》だ。
dottoは《ブラッディ・タイフーン》と《ア・ストラ・センサー》で手札を、墓地を、《カリヤドネ》の為に備える。
なーさんは《シャンタン》から《ギラミリオン・ギラクシー》をGR召喚しドローを続ける。
《オーリリア》の召喚だけは止めなくては。
《ブラッディ・クロス》で墓地を肥やして、《「本日のラッキーナンバー!」》で4を宣言!
なーさんは《クリスタ》《プーンギ》と展開し、《ミッツァイル》を召喚するも1枚目に捲れたのは《ギラミリオン・ギラクシー》。
《ラッキーナンバー》で4を宣言された以上、クリーチャーは出てこない。
千載一遇のチャンスを手にしたdottoは《ア・ストラ・センサー》を発動!
現在墓地は11枚、残り3マナ。
この《センサー》で《カリヤドネ》さえ持ってこれれば!
神にすがるも《カリヤドネ》は見えない。
が、魔王は神にすがらない。
その時に適したプレイを粛々とこなすのだ。
《ラッキーナンバー》の切れたなーさんは《オーリリア》の着地に成功。《ミッツァイル》もいるためSAとなってdottoの盾を削る。
ラビリンスが発動した以上、dottoの動きは著しく制限された。《オーリリア》がいる限りdottoに勝ち目はなく、処理のための呪文も唱えられない。
手札にある《大当たり》も《オーリリア》の前では使えない……
いや、dottoの目に映るのは別の景色だった。
手札にあるのは《大当たり》ではない、《凶鬼90号 ゾレーゴ》だ。
《ゾレーゴ》は着地と同時に天敵の《オーリリア》を破壊し、ラビリンスを解除!!
ここからはdottoの見事なカード捌きで有利不利が逆転する。
なーさんは2枚目の《オーリリア》を構えていたものの、《機術士 ディール》のバウンスと《ゾレーゴ》の攻撃で処理。
なーさん渾身の《ジャミング・チャフ》でもdottoは止まらない。《オブザ08号》のパワーマイナスとあわせて遂に《ミッツァイル》すらも喰らう!!
気がつけばなーさんの盤面にクリーチャーはいない。
ポイントレースを走るdottoにとって優勝、準優勝では入るポイントが倍違う。
dottoにはポイントがかかっているのだ!
「この時を待っていた!」
そう確信して遂に動き出す!!!
なーさんが。
「俺は生活費がかかっている!!」
そう述べていたなーさん。
3マナで《アサラト》を召喚しGRを並べる。そしてすぐに破壊。
《BAKUOOON・ミッツァイル》が着地して《ルーベライノ》《フェルメル》と小型が次々に並ぶ。
《ミッツァイル》の攻撃により、dottoを守る盾がなくなった。
Winner:なーさん!!!
2コスクリーチャーを17体採用したなーさんのメタリカミッツァイル。
予戦本戦と長丁場のCSにおいて安定したスタートは強さに繋がる。
後になーさんは語る。
「《アサラト》+《ミッツァイル》のパッケージは序盤から見えていた。そこに着地するまでに負けないように動く勝負だった。」
有利対面を落とさない。一見簡単に見えるが、ここ一番の大事な場面で平常のそれを出すのは非常に難しい。メタリカを長く愛用していたなーさんのデッキ選択の勝利といえるだろう。
今回のカバレージ化を快諾して下さったカードラボなんば店、なーさん選手、dotto選手への感謝をし、カバレージを締めさせていただく。
両選手の構築はこちらから↓
https://twitter.com/nanba_labo/status/1185486288016703489?s=19
記事:ジャイロ